何の本読んでるんだい、と私は寝室に入るなり言った。
彼女はベッドで本を読んでいた。
表紙を私に示してみせた。
なるほど、で面白いの?と私が訊く。
まあね、と彼女。
私は近づいていった。
お酒臭い、と彼女が言った。
そりゃそうだろう、と私。飲んできたんだもの。
私は上着を脱いだ。
遅かったわね、と私の妻が言う。
私はネクタイを解いた。
息子は寝ているの?と私。
ええ、息子は寝ているわ、と妻。
であなたは?僕がどうしたって?
ズボンから両足を引き抜きながら。
うまくいったの、と妻。
大友さんとの夕食は? うまくいったよ、と私はトランクス姿で言う。
そのあと、と私、気をきかせたつもりで「ドルフィン」で一杯やりに案内したんだがね。
私は浴室のほうに向かった。
バスローブ姿になって戻ってきた。
フジワークが好きらしかったんでさ、と私。
パジャマ着てないの?と妻が驚いて尋ねた。
ああ、着てないさ、と私。
妻はため息を洩らした。
でどうしたの? その人、クラブミュージックが好きじゃなかったの? いやいや、それどころかさあ、と私。
まあちょっと待てよ、いったいどうしたと思う?
私はもう一度浴室に向かった。