これは友だちのグリーンフィールドの話なんですが、あるとき昼寝から起きたら顔の脇が猛烈にかゆくなっていたそうです。
ちょうど耳の付け根のあたり。
その日は、かゆいところを家具にこすりつけて過ごしたそうです。
居眠りをするたびに、目がさめたらかゆみは消えているだろうと期待してね。
だが、決してそうはならなかった。
そんな状態が何週間もつづいたんです。
いろいろな治療を試したが、どれも効き目がなかった。
かゆみはいつまでも消えなくてグリーンフィールドはかゆみとともに歳を重ねていったんです。
わたしだって、近所の猫に悩まされたり、恋人との間に問題を抱えたり、自分を哀れんでしまうことはありましたよ。
それでもね、グリーンフィールドと話をしながら、彼女が手近なものに頭をこすりつけるのを眺めていると、ああ、自分はなんてちっぽけなことでくよくよしてたんだろうと気づかされるんです。
グリーンフィールドはある晩この世を去りましたが、最後の最後まで、はじめてかゆみに襲われたときと同じように夢中で頭をこすりつけていました。
人生の大半を猛烈なかゆみとともに過ごしたわけです。
だからといって、ふさぎこんだり、やりたいことをがまんするようなことはなかった。
ほかの猫だったらかゆみに屈服したでしょうが、グリーンフィールドはそうじゃなかったんですよ。