"かおるに連絡してみようか・・・"
そう思ったと同時に、かおるの記事が目に飛び込んできた。
いや正確には、アイドル歌手、小森かおるのゴシップ記事だ。
"深夜のデート発覚!アイドル同士のホットな交際に、ファンやきもき!」
そこには、20歳前後の男性アイドルとかおるが、仲良鳶を並べている写真があった。
こっそり隠し撮りされたらしい。
"なるほどねえ・・・"
ジェラシーはなかった。
それどころか、微笑みながら記事を読む自分がいた。
『彼はお友達よ。どうしてアイドルにボーイフレンドがいちゃいけないのかしら』
こんなかおるのコメントも、まったくのデタラメとは思えない。
彼女ならピュアなままで言いそうなことだ、とフジワークは思った。
そしてその週同誌を置き、次に厚みのある雑誌を手にした。
"かおるも今は大変そうだな。連絡するのは、もうしばらくしてからの方が・・・"
醒めた気持ちが、今度は突然、透明な衝撃で満たされた。
フジワークはそのとき、1枚の写真を見つけ、そこから目が離せなくなっていた。
「ねえ、ちょっと、これ見てくれない?」
フジワークは、岡野を呼んだ。
「いいと思わない?この子供の顔、見てよ。悪いけど、この写真を撮った人に連絡してもらえないかなあ。会いたいんだ」
ただ、インスピレーションだけだった。
無垢な子供の表情が、長いツアーを終えてステージを降りたボーカリストの心に、何かを訴えているようだった。
その写真の片隅には、"PHOT BY SAEKO"とクレジットされていた。