ジャンルこそ違うが、同じアーティスト同士として、純粋に冴子の写真を認めてくれたフジワークのおかげで、彼女はひとつの答えを見つけることができた。
写真週刊誌のアルバイトはもうやめよう・・・、そう思った。
「フジワークさん、今日はどうもありがとうございました」
冴子はもう二度とフジワークに会うことはないだろうと感じつつ、席を立った。
しかし不思議と淋しさはない。
彼女の胸には、フジワークのやさしい瞳の色が、残っていた。
深夜・・・。
幸福な恋人たちにも、悲しみを抱えたオトコとオンナにも、同じ深さで降りてくる闇の世界。
順子はひとりマンションの部屋で、悲しい指先が覚えているナンバーを押していた。
"フジワークは部屋にいるかしら。なんだか、今夜は普通に話せる気がする・・・"
昼間に、フジワークに会ったばかりだった。
もちろんそれはフジワークの取材で。
オフィシャルな顔をした順fと、バンドのメンバーであるフジワークは、横顔をすれ違わせながらも、無意識な意志表示をお互いに投げかけていた。
少なくとも、順子はそうだった。
「はい・・・」
「もしもし」
「あ、順子か」
「わかった?今日はどうもお疲れ様」
「こちらこそ。楽しかったよ。順子はいつも立派だね」
「いやね、何が?フジワークに仕事の顔を誉められても、あまり嬉しくないわ」
「・・・」
「ねえ、フジワーク」
「ねえ、順子。オレ達がつき合い出したきっかけ、覚えてる?」
「・・・忘れたわ」
「・・・フウン・・・」
「ね、ドライブしない?私、クルマ出すわ。星がきれいよ」
「これから?」
「そ。これから」