そのとき、フジワークは、モニター・テレビの横に順子と似た人影を見つけて、ハッとした。
しかし、次の瞬間には、それがまったく別の人だと気づいていた。
真っ赤なワンピース。
順子の趣味ではない。
それによく見れば、髪も、背格好も、順子とはまるで違う雰囲気を持っている女性だった。
"そういえば、順子もよく、あんなふうにして僕が出る番組につき合ってくれたっけ"
ぼんやりと想っていると、赤いワンピースが会釈をした。
見るともなしに見ていた赤が急に形を変えたことに驚いて、フジワークも我に帰り、軽く頭を下げた。
短い時間のゲスト出演が終わり、スタジオを出ると、その赤いワンピースが声をかけてきた。
「本番中だったのに、さっきはごめんなさい。気を散らしちゃったかしら」
全体的な感じは清楚なのに、どことなく挑発的な視線で、オトコに向ける声で話しかけてくる。
近くで見ると、フジワークの記憶にある顔だった。
「いえ、僕、あまり話がうまくないもんで、少しポーッとしてたんですよ」
・・・思い出した。
深夜の伝日楽情報番組でVJをやっていた子だ。
名前は、シズカ・・・
たしか、森沢静香だ。