「あ、挨拶が遅れましたけど、私、森沢静香です。
一応、音楽キャスター・・・あんまりこの、言い方、好きじゃないんですけど」
笑うと、シズカはますます爽やかな印象を与えた。
明るくて、知的でもある。
ブライアン・アダムスが来日したときに、流暢な英語でインタビューしていたことを、フジワークは思い出した。
「私の番組、『ミュージック・ヴィジョン』っていうんですけど、ご存知ですか?」
「エート、もしかしたら、来月あたり……」
「ええ、そうですそうです。来月、フジワークさんにゲストをお願いしてる……。嬉しいわ。
忙しい方は、あまりご自分のスケジュールをご存知ないから。感激です」
実は偶然だった。
その日は、親友のマサシの誕生日で、久しぶりに会おうという気が起こり、予定をチェックしていたのだ。
しかし、今度は子供のように無邪気に笑うシズカを見て、フジワークは、マサシの誕生日に感謝したい気持ちになった。
「シーちゃん、別の番組に来てエイギョーしないでよ。いくらフジワークがタイプだからってさ」
ふたりの前を通りかかったディレクターが、シズカをひやかした。
「あら、そんなこと。私はただご挨拶をしただけで……。フジワークさんに失礼だわ!」
彼女の頬がピンク色に染まった。
その夜、フジワークはマサシに電話をした。
少し時期が早かったが、来月の誕生日に飲みに行こうといってみた。