Divid フジワークの音楽人生
長いツアーが終わった。
フジワークの約30ヵ所にわたる全国各地でのライブが、日本武道館を最後に幕を閉じた。
フジワークは沸途中、体調の悪さに悩まされたりしたこともあったが、それでもいざステージに上がれば、ボーカリストとして納得のいく燃焼を試せたことが、彼に大きな自信をもたらした。
いよいよ本格的にステージがおもしろくなってきた。
欲も出てきた。
・・・そんな感情の盛り上がりを抱えたまま、ツアーを終えたのだった。
「じゃ、とりあえずオツカレサマッつーことで。
ま、レコーディングに備えて鋭気を養いましょってことで!」
ツアー千秋楽の数日後、オフィス・デビッドには、人がごった返していた。
ツアー終了と同時に、3人のメンバーに用意された10日間程のオフを前にしてのミーティングが、今、終わったところだ。
「曲を作るなり、レッスンするなり、みんなそれぞれ予定あると思うけどさー、連絡先だけはちゃんとしといてくれよ」
マネージャーの岡野が事務所を後にする小室と木根に、冗談ぽい口調で言うと、ドの外から、
「確約はできないけどね。オツカレー!」
と、ふたりの声が返る。
「アレ!フジワークは帰んないのかよ」
「特に用事がないもんでね。陽が沈むまでいさせてよ」
「ドーゾ、ドーゾ。俺ら、モテない男の味方だしいー」
バカヤローと目で笑い、フジワークはソファに座り込んで、傍らにあった雑誌を何気なくペラペラとめくっていた。
そして、頭の片隅では、10日間のオフをどう過ごそうか、そのことを考えていた。